日本口蓋裂学会雑誌
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原著
二段階口蓋形成手術法における幼児期前期の言語管理に関する検討
—口蓋化構音と硬口蓋残遺裂の関連性にもとづいて—
大湊 麗小野 和宏児玉 泰光結城 龍太郎永井 孝宏小林 亮太小林 孝憲飯田 明彦濃野 要宮田 昌幸小林 正治齋藤 功髙木 律男冨原 圭
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2022 年 47 巻 1 号 p. 20-29

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抄録

当院の二段階口蓋形成手術法では,軟口蓋形成術をFurlow法により1歳半に,硬口蓋閉鎖術を鋤骨弁により4歳に施行している。軟口蓋形成術後の硬口蓋残遺裂には硬口蓋閉鎖床を装着しているが,この間の言語機能の獲得には否定的な影響が懸念されやすい。本研究では,当院の治療体系における口蓋化構音の発現要因を明らかにし,口蓋化構音の発現を予防することを目的として,まず,軟口蓋形成術後の1歳半から硬口蓋閉鎖術前の4歳までを幼児期前期とし,片側完全唇顎口蓋裂16例の幼児期前期の言語発達過程でみられた言語症状を回顧的に評価し,良好群,口蓋化構音群(以下,口蓋化群),不良群の3群に類型化した。そして,類型化した群ごとに,言語機能の獲得状況と硬口蓋残遺裂を含めた上顎歯槽弓形態の関連性について検討した。その結果,口蓋化群の2歳の硬口蓋残遺裂後端の位置に関連性が示され,硬口蓋残遺裂後端や軟口蓋からの漏れを補おうとする舌の誤学習が,口蓋化構音の発現に影響を与えている可能性が推察された。また,得られた結果にもとづき,言語機能をできる限り向上させるため,幼児期前期の言語管理の進め方について再考した。

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© 2022 一般社団法人 日本口蓋裂学会
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