日本口蓋裂学会雑誌
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原著
片側性唇顎口蓋裂患者の外科的矯正治療が選択される歯・顎顔面形態の検討
沖野 早苗森川 泰紀石井 武展坂本 輝雄西井 康渡邉 美貴吉田 秀児渡邊 章成田 真人中野 洋子石垣 達也鈴木 啓之
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2023 年 48 巻 1 号 p. 34-42

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抄録
【目的】唇顎口蓋裂患者における顎顔面形態の特徴として,口蓋閉鎖手術に伴う術後性瘢痕組織によって,上顎骨の劣成長による反対咬合を呈することが多い。片側性唇顎口蓋裂を伴う骨格性下顎前突患者のうち,本格矯正治療の方針が外科的矯正治療の適用となった歯・顎顔面形態の特徴の検討を行ったので報告する。
【方法】東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科に来院した片側性唇顎口蓋裂患者のうち,本格矯正治療の治療方針が外科的矯正治療を選択した患者20名を手術群,対照として矯正単独治療を選択した患者27名を矯正群とした。側面頭部エックス線規格写真からセファロ分析を行い,両群の初診時,再診断時,初診時と再診断時の変化量を比較した。
【結果】初診時,上顎骨の前後的位置関係に有意差は認められなかった。矯正群と比較し,手術群の前頭蓋底は短く,オトガイ部は前方位を呈し,ハイアングルであった。再診断時,手術群の下顎枝,下顎骨体は有意に長く,Wits appraisal,ANB angle,Angle of convexityの項目において有意差が認められ,手術群は,上下顎骨の前後的位置関係の不調和が大きかった。成長変化量においてSNB angle,N-perpendicular to Pogにおいて有意差が認められ,下顎骨が前方位であった。前歯のoverjetは初診時,再診断時,変化量のすべてにおいて有意差が認められた。
【結論】片側性唇顎口蓋裂を伴う骨格性下顎前突患者の外科的矯正治療が選択される顎顔面形態の特徴として,上顎骨の前後的な位置に影響は受けず,ハイアングルを示し,前頭蓋底の短い者であった。初診時より前方位を呈していた下顎骨がより成長し,上下顎骨の前後的位置関係の不調和が著しく,前歯のoverjetがマイナスに大きい者が外科的矯正治療の適用となった。下顎骨の成長を注意深く観察する必要があると示唆された。
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© 2023 一般社団法人 日本口蓋裂学会
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