臨床神経学
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原著
厚生労働省特定疾患治療研究事業臨床調査個人票の集計結果からみたパーキンソン病患者の現況
谷口 彰成田 有吾内藤 寛葛原 茂樹
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2008 年 48 巻 2 号 p. 106-113

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抄録

平成16年度に厚生労働省特定疾患治療研究事業パーキンソン病(PD)関連疾患として受給者証が交付された75,026人のうち,電子入力され厚労省から研究用に提供されたPD 23,058人の臨床調査個人票を集計・解析した.平均年齢71.3歳,平均発症年齢62.7歳で,男女比1:1.47であった.40歳未満の若年発症PDは626人(2.7%)で,863人(3.7%)にPDの家族内発症をみとめた.初発症状は振戦が53.6%でもっとも多かった.今回の集計・解析は,対象がYahr III度以上のPD患者に限られる.このため医療費補助との関係でバイアスが入る可能性がある.医師の能力や診断基準が明瞭でないなど診断精度に問題があり,交付件数に比して利用可能な登録データ件数が少ないなど多くの制約はある.しかし本邦におけるPD患者の実態の一端を反映すると考えられた.

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© 2008 日本神経学会
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