頭部CT骨条件では一部の症例で内頸動脈サイフォン部に石灰化が観察される.しかし病的意義は不明な点が多く,この石灰化を頭部MRAと頸動脈超音波の所見と比較した.対象は脳血管障害と診断したまたはうたがった患者112例である.石灰化を形状により4段階に分類し,頭部MRAでの同部位の狭窄度および頸動脈超音波でのmax IMTと比較したところ,有意な相関関係をみとめた.近年のPACS技術の発達によりDICOM viewer上での骨条件への変換は容易となった.石灰化の程度から内頸動脈サイフォン部と総頸動脈分岐部の動脈硬化を即座に簡便に推定でき,内頸動脈の石灰化は虚血性脳血管障害の診療上,注目すべき項目の1つと考える.