臨床神経学
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症例報告
ミノサイクリン長期投与による血管炎性ニューロパチー
小川 暢弘川合 寛道山川 勇真田 充杉本 俊郎前田 憲吾
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2010 年 50 巻 5 号 p. 301-305

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抄録

症例は70歳の女性である.右人工股関節置換術後,感染がうたがわれ,入院8カ月前より,ミノサイクリン(MINO)100mg/日の内服を開始.3カ月前に下血があり,発熱・関節痛が出現,1カ月前より非対称性に四肢の異常感覚,下腿腫脹が出現し,さらに右下垂足を呈したため入院した.血清検査では,炎症反応高値,抗核抗体陽性であり,電気生理学的検査にて多発性単神経障害をみとめた.腓腹神経生検にて有髄神経線維の脱落,軸索変性像,中型動脈の閉塞をみとめた.症例は結節性動脈周囲炎の診断基準を満たしたが,MINOを中止後,直ちに症状が改善し,薬剤性血管炎性ニューロパチーと診断した.本病態の神経組織は既報になく貴重と考えられた.

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© 2010 日本神経学会
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