2010 年 50 巻 5 号 p. 332-334
症例は39歳の女性である.誘因なく左半身の異常感覚・不全片麻痺に続き視野欠損が出現し,3時間以内に消失する発作を反復性にみとめ,その発作の中で2回は嘔気をともなう左側頭部痛をともなった.頭部MR検査で明らかな異常所見なく,孤発性片麻痺性片頭痛(SHM)に合致した.また再発性の皮疹や関節痛も発作2年前よりみとめ,全身性エリテマトーデス(SLE)と診断した.くりかえす発作に対しアスピリンおよび塩酸ロメリジンの投与をおこない,その後発作はすみやかに消失した.SLEにSHMをともなうことはきわめてまれであるが,SHMの鑑別診断としてSLEも考慮する必要がある.