臨床神経学
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症例報告
抗体価指数による髄腔内抗体産生の評価が病因診断確定に有用であったzoster sine herpeteにともなう脊髄炎の1例
犬飼 晃片山 泰司見城 昌邦横川 ゆき饗場 郁子齋藤 由扶子
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2010 年 50 巻 9 号 p. 634-640

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抄録

症例は55歳の女性である.皮疹なく右C2,3皮膚分節の異常感覚で発症し,症状は,約3週間で右C2~C6領域まで拡大した.触覚,痛覚の鈍麻あり.頸髄MRIでC2レベル髄内にT1WIで等信号,T2WIで高信号,ガドリニウム(Gd)で増強される病巣をみとめた.脳脊髄液では水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の抗体価指数が高値で髄腔内抗体産生が示唆され,皮疹を欠くVZV神経障害(zoster sine herpete:ZSH)にともなう脊髄炎と病因診断した.抗ウイルス療法と抗炎症・浮腫療法で後遺症を残さず治癒した.ZSHにともなう脊髄炎では,脳脊髄液中抗体価指数による髄腔内抗体産生の評価が病因確定に有用であった.

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© 2010 日本神経学会
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