臨床神経学
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症例報告
痙性対麻痺様の症候を呈した脊髄小脳失調症2型の1例
宮地 洋輔土井 宏児矢野 繁馬場 泰尚鈴木 ゆめ黒岩 義之
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2010 年 50 巻 9 号 p. 641-644

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抄録

症例は50歳女性である.出産歴,発達歴に異常なく,神経疾患の家族歴をみとめない.約6年間の経過で進行する頸部ジストニア,口部ジスキネジアおよび腱反射亢進を主とする症候をみとめた.原因不明の痙性対麻痺と考えたが,脳MRI上小脳虫部の軽度の萎縮をみとめたため遺伝子検査を施行したところATXN2 の一方のアレルにおいてCAGリピートが38と異常伸長をみとめたため,脊髄小脳失調症2型(SCA2)と診断した.本症例ではSCA2に特徴的とされる小脳性運動失調,緩徐眼球運動,腱反射低下がみとめられず痙性対麻痺様の症候を呈したため,SCA2の臨床像の多様性を示す貴重な症例と考えられた.

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© 2010 日本神経学会
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