2011 年 51 巻 10 号 p. 781-783
症例は34歳男性である.交通事故により顔面多発骨折を受傷し,事故直後より視界の焦点が合わなくなった.頭部CT所見で眼窩骨折はなく,視力や視野に異常はなかった.この半年後より両眼の視力低下と右同名半盲が出現し亜急性に進行した.眼底は正常で,頭部MRIで異常所見はなかった.眼科で球後性視神経炎がうたがわれステロイド療法を施行されたが改善しなかったため,当科に紹介となった.ミトコンドリアDNA解析にて11,778番目の塩基であるグアニンのアデニンへの点変異をみとめ,Leber's hereditary optic neuropathyと診断した.