2011 年 51 巻 7 号 p. 471-477
神経内科診療における遺伝子検査の役割・意義を検討する目的で,1992年から2010年に検査を実施した1,000件について,前期(1992~2000年)と後期(2001~2010年)に分けて解析した.検査数は前期669件,後期331件で,1患者当りの依頼項目数は前期より後期で減少したが,逆に陽性率は前期25.3%に対して,後期48.1%といちじるしく上昇した.この理由として,2001年から検査適応のより厳格な検討と,適切な検査実施を依頼医へ注意喚起したことが挙げられた.神経内科診療における遺伝子検査の果たす役割は大きく,症例ごとに臨床的意義を十分に考慮し,慎重かつ適切に検査を施行することが重要である.