臨床神経学
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症例報告
感覚障害を主徴とし,免疫グロブリン静注療法によりすみやかに改善した遠位型慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチーの46歳男性例
竹下 幸男古賀 道明尾本 雅俊小笠原 淳一川井 元晴神田 隆
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2011 年 51 巻 7 号 p. 478-482

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抄録

症例は46歳男性.3カ月前より,両手両足部のビリビリとした異常感覚が出現した.両側上肢遠位筋に軽度の筋力低下と四肢遠位部に感覚障害をみとめた.運動神経伝導検査で,明らかな脱髄所見をみとめ,感覚神経活動電位は導出不可であった.生検腓腹神経では,薄い髄鞘を有する大径有髄神経線維が散見された.感覚障害を主徴とする遠位型の慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)と診断し,免疫グロブリン静注療法をおこなった.2週間で症状は軽快,神経伝導検査の異常所見も改善し,以降は維持療法なく経過した.遠位型のCIDPは,免疫学的治療が著効し,維持療法なしに一相性の経過をとることが多く,早期の積極的な治療介入が望ましい.

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© 2011 日本神経学会
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