2013 年 53 巻 11 号 p. 1053-1055
パーキンソン病に対するDBS療法には主としてSTN-DBSとGPi-DBSがあるが,どちらを選択するかについては意見がわかれるところである.われわれは術前の認知機能を評価し,術後の認知機能低下のリスクが高いと判断した患者にはGPi-DBSを選択している.DBS手術は局所麻酔でおこなうのが原則であるが,長時間のストレスに耐えられない患者に対しては全身麻酔下の手術も有用である.サルをもちいた実験により,STNの最内側部に辺縁皮質から入力を受ける領域が存在していることが確認され,STN-DBSの際に内側部へ刺激が波及すると情動に影響を与えることが考えられた.DBSの作用メカニズムとして,出力核であるGPiにおける異常な信号の伝達を遮断することにより効果を表すことが示唆された.