成人後に発症する先天代謝異常症(inborn errors of metabolism, IEM)はまれと考えられているが,詳細は不明である.2001年から2010年に当科で,成人後に診断されたIEMについて臨床経過や予後を検討した.IEMと診断した386例のうち24例が成人後に診断された.そのうち成人期の発症例は15例あった.疾患の内訳はアルカプトン尿症11例,その他の有機酸代謝異常症6例,尿素サイクル異常症4例,脂肪酸代謝異常症3例であった.IEMの成人例はまれであるが,発症時期にかかわらず,診断の遅れが患者QOLの低下に繋がる.原因不明の発達遅滞や退行例などでは,成人であってもIEMを念頭においた検索が必要である.