2015 年 55 巻 11 号 p. 804-809
抗glutamic acid decarboxylase(GAD)抗体は1型糖尿病に加えて,stiff-person症候群,小脳失調,認知機能障害,てんかんなどの神経症候とも関連する.本研究では,青年期から中年期に側頭葉てんかんで発症した抗GAD抗体関連脳症4例の臨床的特徴を報告する.4例のうち3例は40~50歳代に発症した.4例とも発症時には脳炎・脳症を疑わせる所見に乏しく早期診断は難しかったが,3~30年後に糖尿病・小脳失調・高次機能障害の併発を契機に診断に至り,2~3剤の抗てんかん薬により発作は消失した.原因不明の中年発症側頭葉てんかんでは,抗GAD抗体の関与を考慮する必要がある.