臨床神経学
Online ISSN : 1882-0654
Print ISSN : 0009-918X
ISSN-L : 0009-918X
症例報告
B型慢性肝炎に対するペグインターフェロンα-2a投与後に発症した慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチーの1例
内藤 裕之竹田 育子瀬川 亜希子柘植 雅貴丸山 博文松本 昌泰
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 56 巻 10 号 p. 672-677

詳細
抄録

症例は42歳の男性.B型慢性肝炎に対するペグインターフェロンα-2a(Peg-IFNα-2a)を開始して2ヶ月後より,四肢の異常感覚,脱力,腱反射消失が出現し,徐々に増悪した.経過および各種検査からPeg-IFNα-2a投与後に出現した慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー(chronic inflammatory demyelinating polyradiculoneuropathy; CIDP)と考えられた.Peg-IFNα-2a中止後に症状は軽快したが残存するため免疫グロブリン静注療法(intravenous immunoglobulin; IVIg)を行ったところ,四肢の異常感覚や脱力の改善,両上肢や膝蓋腱の反射の出現を認めた.慢性肝炎に対してのインターフェロン-α(IFN-α)投与後に出現したCIDPの報告は稀であるが,IFN-α中止後も神経症状が遷延する場合もあり,早期に診断し,治療することが重要である.

著者関連情報
© 2016 日本神経学会
前の記事 次の記事
feedback
Top