2018 年 58 巻 10 号 p. 636-641
症例は20歳女性.感染症状の2週間後に全身痙攣が出現し,意識障害と項部硬直,両下肢脱力,髄液細胞増多を認めた.MRIでは両側帯状回と上前頭回内側部にFLAIR高信号を呈し,脳梁上縁部は線状に造影されていた.ステロイドパルス療法で症状は一部改善したが,左帯状回にリング状造影効果を伴う腫瘤状病変が出現した.入院4週間後に両側視神経炎と脳幹病変を認め,パルス療法と血漿浄化療法を追加し,視力障害はほぼ全快した.後日,抗myelin oligodendrocyte glycoprotein(MOG),抗N-methyl-D-aspartate(NMDA)受容体抗体陽性が判明した.両抗体陽性の視神経炎を合併した脳炎の報告は稀であり,抗MOG抗体関連疾患や抗NMDA受容体脳炎の臨床的多様性に関与している可能性も考えられた.