臨床神経学
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症例報告
チロシンキナーゼ阻害薬(tyrosin kinase inhibitor; TKI)を内服中に脳梗塞を繰り返した1例
中屋 亮彦蛯谷 征弘門前 達哉長野 拓郎齋藤 太矢尾板 裕之
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2019 年 59 巻 7 号 p. 418-424

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抄録

症例は,喫煙歴,高血圧症,糖尿病,脂質異常症のいずれもない76歳の男性.2010年に慢性骨髄性白血病に対しニロチニブの内服を開始した.2017年9月に右不全片麻痺が出現し,左中大脳動脈境界領域の新規脳梗塞と両側の頸部内頸動脈の狭窄を認めた.ニロチニブをボスチニブへ変更し,クロピドグレルの内服を開始した.12月に同部位に脳梗塞を再発し,両側の内頸動脈は更に狭窄しており血管内治療を要した.近年,チロシンキナーゼ阻害薬(tyrosin kinase inhibitor; TKI)内服中に重度の動脈狭窄を呈し脳梗塞を発症したとの報告が散見される.TKIの内服歴がある患者が脳梗塞を発症した場合は血管イベントリスクが乏しくても,画像検査による慎重な経過観察を行う必要があると考えた.

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© 2019 日本神経学会
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