2021 年 61 巻 12 号 p. 844-850
神経皮膚黒色症は,神経堤細胞のNRAS体細胞変異により,皮膚で大型や多発性の母斑,神経系では軟膜メラニン細胞増殖をきたす.神経症状の発症は2歳までが多いが,成人後にもみられる.先天性大型黒色母斑を切除後長期間無症状であったが,35歳時に頭痛,意識障害,痙攣発作を生じた男性例を経験した.メソトレキセートは無効で,髄液排出による脳圧低下,ステロイドパルス療法が一時的に有効であったが,痙攣発作,意識障害が悪化し第92病日に死亡した.メラニン細胞増殖の診断に,髄液human melanin black-45免疫染色と血清5-S-cysteinyldopa(5-S-CD)が有用で,血清5-S-CDは予後予測にも有用な可能性があった.