抄録
症例は82歳男性.2011年8月下旬嘔吐,ろれつ困難,筋力低下と頻呼吸あり.呼吸停止となり気管挿管実施,頭部MRIで脳幹から両側小脳半球に高信号病変あり.発症第7日目,当科に転院.神経所見は開眼しているが疼痛刺激に反応なく,毛様体反射,人形の目現象もみとめなかった.失調性呼吸あり.各種自己抗体陰性,髄液検査で蛋白細胞解離とミエリン塩基蛋白の上昇をみとめた.ステロイドパルス療法を実施後,意識レベルと四肢筋力が徐々に回復,人工呼吸器から離脱した.後日抗Gal-Cer IgG抗体陽性が判明した.抗Gal-Cer IgG抗体陽性の急性散在性脳脊髄炎の報告はまれである.