抄録
【目的】
視覚を通して得られる情報の中で、食空間に用いられる色は喫食者の心理に大きく影響するといわれる。そこで我々は先に9色(赤,黄,ベージュ,紫,青,緑,白,灰色,黒)のテーブルクロスを用いて、喫食者の食心理を調査した。その結果、ベージュのテーブルクロスは他の色と比較して、食欲を増すなどの効果が高いことが明らかとなった。そこで本研究はベージュ系のテーブルクロスの効果に焦点をあて、実物大のセッティングの元で喫食者の食卓心理調査を行った。
【方法】
下記*に示した7色のベージュ系色のテーブルクロスをかけた食卓(1800×900×700mm)を用意し、色のイメージ・食習慣・不定愁訴などを含めたアンケート調査を行った。調査期間は2006年8月末~2006年9月上旬、対象者は食後1時間以上経過した女子大学生211名、照明は蛍光灯を用い(照度:400-600 lux)、温度20-25℃、湿度50%の環境下に設定した。統計処理はSPSS10.0を用いた。
【結果】
7色の色イメージを調査するため32形容詞対を主成分分析に供したところ、”快活性”と”くつろぎ性”の因子が抽出された。Beige7は”快活性”は高いが”くつろぎ性”は低く、Beige5・6は”くつろぎ性”は高いが”快活性”は低かった。一方beige1・2は”快活性””くつろぎ性”共に高く、食欲増進効果もあったことから、高明度で低彩度なベージュは食卓に最適であると示された。
*テーブルクロスのマンセル値(色相ー明度ー彩度)
beige1:0.7Y-8.2-1.4
beige2:9.9YR-7.7-2.2
beige3:2.4YR-7.1-3.3
beieg4:6.6YR-6.5-2.3
beige5:6.6YR-4.4-2.9
beige6:4.5YR-3.0-2.1
beige7:0.1YR-8.0-3.5