論文ID: cn-002126
症例は60代女性,2週間前から手足のしびれが出現し,亜急性に悪化し歩行困難になり受診した.5年前,ピロリ菌に対する除菌療法を試みたが,除菌不成功と判定された.受診時,舌の発赤,手袋靴下型の異常感覚,下肢深部覚低下,体幹失調を認めた.血中ビタミンB12低下,胸髄MRIで脊髄後索に対称性高信号を認めた.亜急性連合性脊髄変性症を疑い,ビタミンB12注を開始し独歩可能になった.抗内因子抗体・抗胃壁細胞抗体が陽性,胃内視鏡検査で萎縮性胃炎を認めた.近年,“泥沼ピロリ除菌” 例の中に自己免疫性胃炎が多いことが指摘されており,これはビタミンB12欠乏性神経障害に至る可能性があることを指摘したい.