高不安者は注意の資源容量が多く,様々な刺激に注意が向くと考えられる。本研究では知覚的負荷(perceptual load)の理論に基づき,社会不安者の注意の資源容量について検討した。同心円上に提示された6つのアルファベットの中から,1つあるターゲット(XまたはN)をすばやく識別するよう求めた。高負荷条件ではターゲット刺激以外は全て異なったアルファベット,低負荷条件では全て同一のアルファベットである。課題無関連刺激として,ターゲットと一致・中立・不一致なアルファベットを提示した。その結果,低社会不安者は低負荷条件でのみ課題無関連刺激からの干渉が見られ,ターゲットと不一致な課題無関連刺激提示時に,ターゲット刺激の処理が遅れた。一方,高社会不安者は低・高負荷条件の両方で課題無関連刺激からの干渉が見られた。したがって,高社会不安者は注意の資源容量が多く,高負荷条件でも課題無関連刺激の処理が行われたと考えられる。