抄録
Algom et al. (2004) は、従来の情動ストループが、色-単語ストループとは異なる性質を持つことを指摘した。この指摘を受け、表情と情動語の2次元の情報を含む刺激を用いた新情動ストループが考案され、表情課題(Etkin et al., 2006)と、単語課題(Haas et al., 2006)の双方においてストループ効果が確認された。だが、単語課題におけるストループ効果は、色-単語ストループでは(特定の条件下を除き)生じない現象である。この単語課題におけるストループ効果は、Haas et al.(2006)の刺激特性(単語の干渉耐性)や課題特性に由来するのか、又は新パラダイムと色-単語ストループの原理の差異に由来するのかは不明である。本実験では、表情課題と単語課題を同一被験者に課し(実験1)、さらに刺激特性(干渉耐性)を操作して(実験2)、新情動ストループと色-単語ストループの性質の同異を検討した。