抄録
メールに付与された顔文字のフォント(明朝体・ゴシック体)が変わる、あるいは、途中で改行される、という事態が、メールの印象評定および感情変化にどのような影響があるのかについて調査した。大学生(141名)が質問紙調査に参加した。実験参加者は、それぞれのスクリプト下における感情状態を報告し、その後、顔文字を付与されたメッセージを読んだ後に再び感情状態を報告した。その結果、メールの印象については、フォントの種類や改行の影響を受けなかったにもかかわらず、不安の感情状態時には、明朝体の顔文字のほうが、ゴシック体の顔文字および明朝体でも改行が含まれる顔文字に比べて、より大きく不安を低減することが示された。この結果は、(1)印象のレベルにおいては、顔文字がイメージではなく記号であること、(2)感情のレベルにおいては、顔文字は単なる記号ではなくイメージであること、を示す。