日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第5回大会
セッションID: o3A-2
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口頭発表
裁判員裁判における他者の発言および発言者の立場が量刑判断に与える影響
*浅井 千絵荒川 歩
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抄録

2009年より導入が予定されている裁判員制度は,一般市民が裁判官と共に重大な刑事事件に対しその量刑を決定する制度である.この制度の導入により素人と専門家が同じ立場量刑判断を行うことになるが,その際法的知識をほとんど持たない一般市民が自分の意見をどのように形成していくかはひとつの議論すべき問題であると考えられる.そこで本研究では,裁判員が他者(裁判官・裁判員)の意見を聞くこと及び発言者の立場の違いが一般市民の意見に及ぼす効果について焦点を置き検討を行った.実験では参加者(大学生40名)はパワーポイントで提示された模擬裁判員裁判の様子を見せられ,その中で事件の評議前後で適切であると思われる量刑判断及びその判断に対する確信度について質問紙への回答を試みた.その結果,他者の意見を聞く前よりも聞いた後のほうが,量刑判断に対する確信度が高くなることが示された.しかし,他者が裁判官もしくは裁判員であっても参加者の意見に変化はなく発言者の立場が量刑判断や確信度の形成に影響を与えることはなかった.

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© 2007 日本認知心理学会
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