黄金比(GR)は、視知覚や認知の機能と深く関わっている。先行研究では、GRの逆数が人間行動に重要な役割を果たしていることが示唆されてきた。本研究では、何ら事前情報が与えられない条件下で一列に配置された選択肢から一つを選択するという意志決定過程について検討した。この場合、協力者は潜在的に持つ原初的知識に頼らなければならない。実験の結果、それぞれの選択肢が選ばれる頻度はGRの関数(GR-proportions)で記述することができた。すべての条件でGR-proportionsが見られたことから、意思決定過程においてGR-proportions を生み出す単一の基盤メカニズムの存在が示唆された。したがって、GRの関数が人間の潜在的な原初知識に内在すると考えられる。