印象を規定する3因子(Osgood, et al., 1957)のうち,活動性・力量性では印象の一致が,評価性では印象の不一致が再認を促進する傾向があることが刺激の種類や実験手続きの違いによらずほぼ一貫して示されてきた(作田・行場,2003;Sakuta & Gyoba, 2006).これまでは学習の直後に思い出させる直後再認の手続きを用いてきたが,今回は,3日後に思い出させる遅延再認の手続きを用いて,印象が記憶におよぼすより長期の影響を検討した.その結果,3日の保持期間をおくと,活動性・力量性で印象が一致するペアでは著しい再認成績(d')の低下が見られたのに対し,評価性で印象が不一致のペアは再認成績が高いままであった.評価性因子は他の2因子に比べ主観性・情緒性が強いため,印象の不一致を説明あるいは解消するための精緻化処理をより必要とした結果,再認が促進されたのではないかと推測された.