顔の魅力に関する平均仮説の妥当性についてはいまだ一致した結論が得られていない.本研究では,古生物学の分野で主に発展してきた幾何学的形態測定学(Geometrical Morphometrics)の手法を援用することで,顔の形状を直接多変量データとして扱うことで平均仮説の妥当性について検討した.顔画像の特徴点座標に対し,重心サイズを用いたサイズの規格化,およびGeneralized Procrustes Methodによる整列を行うことで,各標識点を多次元正規分布する座標として扱うことができる.顔画像に対する魅力評価実験を行い,局所平滑化手法の一つであるLOESSを用いて顔の形態的特徴と魅力評価の関係を示した.その結果,平均仮説が部分的に支持されたが,男女の顔の違いを反映した軸においては,平均性に基づいた評価が行われていなかったことが示唆された.