刺激画像全体に複数の斑点様の視覚刺激を瞬間的に提示することで画像の変化が気づきにくくなる現象が知られており、mudsplashによる変化盲と呼ばれている(O'Regan et al., 1999, Nature).この現象は通常複数の斑点刺激を提示することによって生じることが示されてきた.本研究では、ターゲット刺激を運動させた場合、単一の点フラッシュ刺激や,あらかじめ提示していた刺激の消失によってもターゲット刺激の形状変化が高い頻度で見落されやすくなることを見出した.この見落し現象は,ターゲット刺激とフラッシュ刺激とが左右視野のうち同一の視野に提示された場合に高い頻度で生じることが見出された.これらのことから、この見落としににはフラッシュ刺激による注意の捕捉が関与していることが推測される.フラッシュ刺激とターゲット刺激の形状変化の時間差,および距離が見落としの頻度におよぼす効果から、この現象の基礎にある過程について考察する.