この研究では、発話課題を用いた注意の切り替えが干渉抑制に与える影響を調べた。注意の切り替え課題はランダムに英語と日本語で数字を読む条件と、英語もしくは日本語のみで数字を読むコントロール条件から構成されていた。実験では、切り替え条件8試行に続きSimonあるいはStroop課題を10試行行うセットを数回繰り返した。実験参加者は、予めアンケート調査によって主観的幸福感の高い学生と低い学生を各20名ずつ選んだ。干渉課題としてはSimon課題とStroop課題を用いた。実験結果は、Simon課題では、英語で数字を読む条件においてSimon効果が高く表れ、幸福度の影響は見られなかった。一方、Stroop課題では、英語で数字を読む条件と英語と日本語の切り替え条件においてStroop干渉が抑えられるとともに、幸福度の高い群は全体として低い群よりも干渉が小さかった。以上の結果は、それぞれの課題における干渉が異なる過程によることを示唆している。