日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第5回大会
セッションID: p1-026
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ポスター発表
話し手との共益関係から見た「あげる・くれる」の選好性
*平 知宏横森 大輔野澤 元森本 裕子
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キーワード: 語の選好性, 共益性, 語用論
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抄録

日本語では,ある人物から他の人物への授与行為を表現するために,「あげる」と「くれる」という二つの動詞が存在する.これらは,基本的には話し手への授与は「くれる」,それ以外への授与は「あげる」という形で使い分けられるが(例:祖父は{私/知り合い}に腕時計を{くれた/あげた}),特定の条件では話し手以外への授与にも「くれる」が使えるなど(例:祖父が私の恋人に腕時計をくれた),使い分けの微妙な要因に関して,言語学では様々な理論的な検討がされている. 本研究では,これらの動詞が表すのは,具体物の授与というよりも,抽象的な利益の授与,つまり与益行為であると考え,またその使い分けに影響する要因として,与益者と受益者のそれぞれと,話し手との間の共益性に注目し,心理実験による検討を行った.その結果,与益者の共益性よりも受益者の共益性が高いほど,「くれる」という表現が選好されるということが示された.

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© 2007 日本認知心理学会
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