抄録
我々は,日常の会話場面で音や物の動きや状態を相手に伝えるために,オノマトペと呼ばれる独特の表現法をもちいる。近年,このオノマトペが測定場面での反応語としてもちいられている。しかし,オノマトペは属する五感によって語彙に偏りがあり,オノマトペを用いて表現する際には,モダリティが異なる修飾語と被修飾語を組み合わせた共感覚的表現が必要となる。本研究では,オノマトペによって五感を代表する名詞を修飾する共感覚的表現(例:『キラキラ』した『におい』)の理解可能度の評価を参加者に求めた。結果として,理解可能な修飾方向について,一般形容詞による共感覚的表現と似た傾向がオノマトペにおいても確認された。さらに,オノマトペ独自の組合せとして,一般形容詞では確認されなかった味覚から触覚への修飾方向もみられた。この結果から,オノマトペを反応語として用いる際に共感覚的測定も可能であることが示唆された。