抄録
笑いのオノマトペ(擬声語)は,笑い声と笑い感情との2つの側面を表現することができる。本研究では,マグニチュード推定法によって両者を定量的に測定し,それらの構造についても検討した。大学生・大学院生23名に,笑いを表現するオノマトペの2側面それぞれの程度を,「ゲラゲラ」を基準刺激として評定させた。各オノマトペが表現している強度については,2側面とも矢口(2007)が一対比較法の変法で測定したものと類似しており,2側面の間で順序の不一致が認められた。適合度等からは,笑い声の大きさは1次元ともみなせるが,笑い感情の強さは1次元ではないことが明らかになった。笑いの感性評価においてオノマトペを用いる際には,これらに留意するべきであろう。