抄録
モンティーホールジレンマに関する研究は,なぜ規範解を導くことに失敗するのかといった規範解を得ることの難しさに関する研究がこれまでは主流であったが,近年,どうすれば規範解を導けるようになるかという認知支援研究や,規範解を導くことの成功/失敗を分ける要因は何かの探索に研究の方向がシフトしつつある。しかし,依然として規範的なベイズの定理に基づく確率判断は困難であり,最終的な意思決定には心理的側面の与える影響が強い。
そこで本研究では,モンティーホールジレンマと表面的には類似しており,実験参加者の反応傾向がほぼ同じであるが,ベイズ推定を必要とせず規範解も存在しない偽MHD課題(三好・若林・生駒, 2004)への反応を,意思決定理由,認知的熟慮性―衝動性尺度,ユニークネス尺度との関連から検討した。