抄録
本研究は、怒り特性の個人差が、怒りを誘発時において、認知課題、生理的指標に影響するかを探った。170名の怒り質問紙(STAXI)回答データにより、特性の高い群と低い群に分割し、高群より7名、低群より6名が実験に参加した。実験は、刺激として暗算課題、認知課題テストとしてWCST、生理指標として心拍変動、そして実験の最後にSTAXIの下位尺度ASによる質問を行った。暗算課題は、前・後半各12問題で構成し、後半に怒り誘発刺激を組み込んだ。実験後のAS平均得点に群間で有意差があり、更にASとWCSTの一部の評価項目に有意な相関が見られた。暗算課題の前半と後半のエラー数に有意差が無く、平均所要時間に有意差があったことは、怒り誘発刺激の効果を示していた。しかし、心拍変動、WCSTにおいて、群間差が全く見られなかったことは、怒り特性が認知課題にも心拍変動にも影響を及ぼさなかったと結論した。