抄録
正田ら(2007)は、《機械的》《芸術的》《誇張的》を意図した演奏を、一般の大学生に多次元的尺度を用いて評定させる実験を行い、《芸術的》演奏がその曲の情動的特徴をはっきりと伝達する演奏であったことを示した。これらの傾向は音楽的素養の高い聴取者とそうではない聴取者では異なると考えられる。そこで、本研究では楽器演奏経験の豊富な聴取者を音楽的素養の高い聴取者とみなし、大阪大学の学生130名を対象に行った聴取実験から、楽器経験の豊富な聴取者(41名)と楽器経験の少ない聴取者(42名)の印象評定をそれぞれ分析した。結果、楽器演奏経験に拘らず、印象評定の基本的パターンはほぼ同じであったが、正田ら(2007)で見られた、《芸術的》演奏がその曲の特徴をよりはっきりと伝達する、という傾向は、楽器演奏経験の豊富な聴取者の方でより顕著であった。