複数の会話参与者が同時に類似のジェスチャーを行う「同期現象」の生成過程を調べるため、互いに顔見知りである大学1回生3人1組の会話を撮影し、マイクロ分析を行った。その結果、同期はひとつのジェスチャー単位の最初から達成されるわけではなく、相手の行為をモニタリングし、行為を微細に相互調整することによって、ジェスチャーのフェーズ終点で達成されることがわかった。達成される同期がどの程度の細部をもつかによって、話題に関する知識の差が、どの程度参与者間にあるかが明らかになる。しかし知識の少ない者による同期は、単に細部の欠けた同期として終わるとは限らず、同期に欠けている要素を明らかにすることによって、他の参与者のさらなるジェスチャーを促す場合があることがわかった。