抄録
検索誘導性忘却とは,事前に記憶内のある情報だけを思い出すことによって,後に関連する情報が思い出しにくくなる現象である (Anderson, 2003)。本研究では,検索経験として事前に行う手がかり再生テストを再認テストに代えて,検索誘導性忘却が生じるのかどうかを検討した。山田・月元・川口 (2007, 日心) は強制選択再認テストによる検索誘導性忘却を確認しており,ディストラクタによる干渉の影響であることが示唆されている。しかしながら,ターゲットとディストラクタの対呈示による選択プロセスが何らかの影響を及ぼしていたのかもしれない。そこで,本研究ではYes-No再認テストを用いて,検索誘導性忘却が認められるのか否かを検討した。その結果,検索誘導性忘却が認められた。これは,強制選択による選択プロセスの関与を棄却するものであり,再認テストによる検索誘導性忘却はディストラクタによる干渉効果であると考えられる。