抄録
本研究は、代替思考の学習方略の違いが忘却に及ぼす影響について検討した。手続きは、学習、Think/Think a new word, 手がかり再生テストであった。実験参加者は、学習段階で、手がかり語に対して対応語を覚えるように教示された。その後、Think/Think a new word段階では、Think試行として手がかり語に対して対応語を口頭で再生するか、Think a new word試行として手がかり語に対して対応語ではなく別の単語を考えるように教示した。この試行を最大12回繰り返すように求めた。もし、先行研究が示すように、代替思考を考えることで忘却に成功するとすれば、最終手がかり再生テストで、Think a new word試行に該当する条件の第1段階での対応語の再生率は、何の試行も行わなかった条件よりも成績が下がるはずである。しかし、結果は予想に反し、Think a new word試行に該当する条件の成績は他の条件と変わらなかった。この結果は、代替思考の学習の方略の違いによって生じているものであることが推察される。