抄録
本研究では,近年急速に成長を遂げている消費者形成型メディアの「クチコミサイト」を題材として,ウェブにおける情報探索活動と心理的特性の関係について分析を行った.大学生278名を対象として,レビュー情報閲覧のジャンルや目的,ならびに曖昧さ耐性・自己認識欲求・基本的信頼感・インターネット依存度などの個人特性に関する質問紙調査を実施した.その結果,基本的信頼感が高い者は,レビュアーの個性が反映されるような,実体験の情報(レビュー)を求めて情報探索をしていることが示された.さらに,曖昧さ耐性が低い者は,機能や使いやすさといった客観的情報だけでなく,安心や納得などの心理的な安定を得るために情報探索をしていることが示された.これらの結果から,クチコミサイトにおけるレビュー情報は,購買などの意思決定のためだけでなく,閲覧者の心理的特性に応じて多様な情報資源としての役割を果たしていることが明らかとなった.