抄録
違反の生起要因の一つに,違反への潜在的態度があると考えられる。その測定手法として潜在的連合テスト(Implicit Association Test:IAT)に着目し,看護業務における違反への潜在的態度を測定するIATの作成を試みた。IATは,プライミングと反応速度の測定を利用した手法である。本研究では,「点滴の作り置き」等の違反と「わるい」や「不快」等の単語とに同じ反応を求めるブロックと,違反と「よい」や「快」等の単語とに同じ反応を求めるブロックを実施し,相対的に前者の反応が速いほど違反への潜在的態度が強いと判断した。このIATと医療従事者の安全に対する態度尺度(神薗, 2000)を看護学科の大学生71名に実施し,作成したIATの妥当性と信頼性を検討した。その結果,IATのブロック間の反応時間の差からツールとしての構成概念妥当性が示された。また,試行間のばらつきから信頼性(内的一貫性)が示された。IATを得点化したIAT得点と神薗(2000)の因子との前に有意な相関が見られたことから,基準関連妥当性も示された。