日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第8回大会
セッションID: O7-3
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口頭発表7(知覚・感性)
物体運動の複雑性が生物性認知と視覚探査に及ぼす影響
*松田 憲黒川 正弘興梠 盛剛楠見 孝
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抄録
本研究は物体運動が複雑,生物的な運動をすることで観察者が能動的に注視し,gaze cascade効果が生じるかを検討した。実験1は対象の運動の方向変化回数(1回,3回,7回)と変化タイミング(一定,ランダム),実験2では実験1の要因に加速度(加速,減速,加減速混合)を加えて,それらが参加者の対象評価に及ぼす影響を調べた。16名ずつの参加者には,運動する黒縁の円を8秒間呈示したあと,円の動きについて6尺度(面白さ,好意度,複雑性,生物性,関心度,印象度)を7段階で評定するよう求めた。実験の結果,加速度を加えた実験2のほうが実験1に比べて各要因の複雑性,生物性,好意度の上昇傾向が大きかった。刺激への能動性の尺度とした関心度については,実験1では変化回数でのみ影響がみられたが,実験2では他の2要因でも影響がみられた。すなわち,物体運動の複雑性,生物性の上昇が能動的視覚探査を喚起させ,gaze cascade効果を発生させたと考えられる。
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© 2010 日本認知心理学会
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