抄録
私たちは様々な状況で情報機器を操作する。その一つの状況として、時間的制約状況が挙げられる。例えば公共空間で後ろに人が並んでいる状況で券売機などを利用する場面が挙げられる。本研究では、特に時間的制約下における情報機器の操作について認知的加齢がどのような影響を与えるのかを注意資源のリソースの観点から検討した。
本研究では、参加者(大学生、高齢者、各16名)に対して時間的制約要因として有・無の2条件が設定された券売機の操作課題を課した。また、注意資源の個人差を測定するために、空間スパンテストを課した。実験の結果、時間的制約下では年齢に関係なく操作エラーが増加することが示された。総操作時間では年齢要因(高齢者>大学生)の主効果のみが認められた。結果からは、時間的制約条件下では、年齢に関わりなく注意資源の配分モードが変化する可能性が指摘できよう。発表では、空間スパンテストの個人差の要因も含めて考察する。