抄録
行動や脳の機能的な非対称性はヒト以外の種にも広く認められており、イヌでも同種他個体の発声が左半球優位で処理されることが示唆されている(Siniscalchi et al., 2008)。本研究では、ヒトと社会的な関係を築いているイヌが、ヒトの音声に対して反応の非対称性を示すかどうか、ヘッドターニングパラダイム(音声に対して向けられた頭の向きから脳の非対称性を推測)を用いて検討した。実験では、イヌの発声、ヒトがイヌを呼ぶ声、ノイズの3種類の音声刺激を左右のスピーカーからイヌに呈示し、各刺激に対して最初に向けられたイヌの頭の方向を記録した。その結果、イヌは同種とヒトの音声に対して、頭を有意に右に向ける傾向が見られたが、ノイズに対する反応の非対称性は見られなかった。このことは、イヌが、ヒトの音声を同種他個体の発声と同側(左半球優位)で処理する可能性を示している。