抄録
視線注意効果に及ぼす表情の影響について,事象関連電位(ERP)を取得して検討した。6名の実験参加者は,SOA(300 ms/600 ms)×手がかり(中立/有効/無効)×表情(中性/幸福/恐怖/怒り)の3要因を組み合わせた先行手がかり刺激を提示され,ターゲット刺激の位置判断課題を行った。参加者は48試行ブロックを15ブロック,計720試行行った。ERPはFz, Cz, Pzから導出した。その結果,刺激提示後200 ms前後でピークに達する陽性成分(P200)が顕著に出現した。P200振幅について,SOA×手がかり×表情×部位の分散分析を行った結果,手がかりの主効果,SOA×部位,SOA×手がかり×表情,手がかり×表情×部位の各交互作用が有意であった。中性顔および幸福顔と,怒り顔に対するP200振幅とが,手がかりやSOAなどと関連して変動し,表情の違いにより視線注意効果が変容することが示唆された。