抄録
本研究では, 自動車画像を刺激として用い,背景情報の呈示方法を操作することで形成される親近性, 新奇性が, 単純接触効果に与える影響を検討した。実験1では学習時の背景情報と呈示回数を操作した。実験2では学習時の背景を固定し,評定時の背景と呈示回数を操作した。18名ずつの参加者には,自動車画像を3秒ずつ連続呈示したあと,自動車について好意度,親近性,新奇性の7段階評定を求めた。実験1では, 学習時に背景情報を変化させた方が呈示回数に応じて自動車への好意度が上昇した。反復呈示による親近性の増大と, 学習ごとの背景変化による新奇性付加が,好意度の上昇に繋がると解釈できる。実験2ではいずれの背景条件においても好意度の上昇が見られなかった。学習時に同一刺激を見続けたことによる心的飽和が好意度の上昇を抑制したと考える。以上より,学習時にその都度新奇性を与えることが, 単純接触効果の生起に有効であることが示された。