抄録
これまで、提示された項目をどのように処理するかといった処理様式の操作がフォルスメモリの抑制効果に及ぼす影響について検討が行われている。Seamon et al.(2003)では、学習項目をそのまま書き出すという方略を用いた場合に虚再生率が減少することが示された。しかしながら、そのような方略が学習項目が十分に提示されていない場合にも効果的であるか否かについては言及がなされていない。したがって、本研究では処理様式の効果が学習項目の提示時間によって異なるか否かを検討するために、提示時間と処理様式の2つの要因から虚再認率の抑制効果について検討を行った。その結果、虚再認率に対する提示時間、処理様式の主効果、交互作用は確認されなかった。このことは、本研究における実験操作がフォルスメモリを抑制しなかったことを示していた。