抄録
本研究では,人工文法学習課題を用いて潜在学習を行い,学習フェーズにおける文法との接触回数を操作する.この学習フェーズでの接触回数の操作が単純接触効果にどのような影響を及ぼすか検討を行った.石川・松田・田中・長・三池(2010)では学習毎で文字列の呈示回数を操作しながら長期的な潜在学習い,単純接触効果に及ぼす影響を検討している.この先行研究では,呈示回数の操作による好意度への影響はみられなかったが,これは文字列の過度の呈示で文法自体への接触が増加し,天井効果が生じた可能性が考えられた.また短期学習においても呈示回数の効果がみられなかったため,短期学習を隔週で行う長期学習でも,その効果がみられなかった可能性があった.そこで今回の実験では,各文字列の呈示回数ではなく,文法との接触回数の操作に変更して,短期学習における接触回数の効果について検討した.