抄録
日常的なカテゴリの構造として,Rosch(1976)において族類似構造が提案されて以来,多くのカテゴリ研究で族類似構造を用いた刺激が使用されてきた。本研究では,族類似構造をもつ架空動物の線画の2カテゴリを作成し,同じ族類似構造ではあるが,各特徴次元の値に与える属性を変化させた場合に,自由分類課題におけるカテゴリ化に違いがあらわれるか否かを検証した。その結果,族類似構造が同じでも,与える属性が異なることによって分類のされ方に変化があらわれること,また,最も典型的な事例として選択されやすいのは,族類似構造における典型的事例ではなく,全体的な大きさにおける事例であることが示された。