本研究では、形がにおいの印象に及ぼす影響を検討することを目的とした。におい刺激と合わせて提示する形刺激は紙粘土で作成し、におい刺激は形刺激の中心に組み込むことで一体感を持たせた。においの強度評定に関して、角図形を伴ったにおいは丸図形を伴ったにおいよりも強く評定され、曲線性の低い角図形が刺激的な感情を伝えた可能性が考えられた。またこの現象は、特にニオイの質として「角がある」印象を元々有するにおいで顕著であり、におい刺激と形刺激のイメージが合致したために、においの印象が強くなったと考えられた。一方、快不快評価には形の影響は示されなかった。オノマトペを用いたにおいの評価の主成分分析の結果、第一主成分に「角-丸」、第二主成分に「ポジティブ-ネガティブ」が抽出された。角図形を伴ったにおいは角がある印象が、丸図形を伴ったにおいは丸みのある印象が促進され、形がにおいの印象をそれぞれが持つ特徴へと導いた。